水球って、どんなスポーツ?いまこそ語り合いたい──水中に潜む「反フェアプレー」の撲滅
水球は、その迫力や身体的なコンタクトの激しさから「水中の格闘技」と呼ばれてきました。しかし、この表現は水球というスポーツの“本質”を曇らせてしまう可能性があります。KAKU SPORTS OFFICE は、水球を身体的コンタクトの激しさで語るのではなく、「タフでフェア・クリエイティブな水上のボールゲーム」と表現してきました。そしていま改めて、私たちが向き合うべきテーマがあります。──“フェアプレーの精神をどう育てるか”。
これは日本水球界が避けては通れない、大切な問いです。
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水球は、水上でゴールを奪い合うチームスポーツです。しかし、その成立には極めて高度な身体技術が求められます。
•水中での移動
•停止と方向転換
•上半身を高く水面上に引き上げる動作
•相手との攻防を制するための行動
•ボールを扱う繊細な感覚
•攻守に渡る主体的且つ調和のバランス感覚
これらすべてを同時に行うには、
技術・戦術・身体能力・精神力の総合的な鍛錬
が必要です。
水球は「知恵と創造性、決断のスポーツ」であり、そこに本来の魅力があります。

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水球は“水上のボールゲーム”ですが、選手の身体の多くは水中にあります。これが大きな問題を生みます。
■ レフェリーが見えない
水中で起きる「不正行為」は、レフェリーにとって視認が難しい。
■ 観客席からも見えない
観客には、水中で何が起きているのかが分かりにくい。
■ その結果──「見えない反則」が技術の一部になる
本来排除されるべき行為が
“技術の延長”として扱われてしまう危険性があります。
それは次のような弊害を生みます。
•コート内でのトラブル
•コート外での紛争
•水球の魅力の誤解
•新規プレーヤーの減少
•競技発展の停滞
この負の連鎖を断ち切るには、“フェアプレーの再定義”が不可欠です。

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国内の主要大会では、反則や懲罰への不服から、監督やコーチによる過剰な抗議や暴言がレフェリーに向けられる場面が少なくありません。
さらに、その影響はトップカテゴリーだけでなく
小学生年代の大会にまで及んでいます。
若いレフェリーの中には、
「水球界の重鎮とされる指導者からの強い言葉に恐怖を感じた」
と語る人もいます。
スポーツパーソンシップの基盤である
“レフェリーへの敬意”と“ルールの尊重” が揺らぐと、フェアプレー文化は根づきません。

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近年、競泳・飛込・アーティスティックスイミングと同様、水球でも中継技術が飛躍的に進化しました。
水中映像が明瞭に映し出されることで、
これまで見えなかった反則が可視化されつつあります。
水球界はテクノロジーを活用し、
“見えない不正を見逃さない”
という方向に進み始めています。
これは、水球をよりフェアで魅力あるスポーツに進化させる大きな力になるはずです。
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フェアプレーとは何か。広辞苑はこう定義します。
(1)正々堂々たるふるまい
(2)公明正大な行為・態度
(広辞苑第六版)
スポーツにはルールがあり、それを守ることでアスリート同士が互いの力を引き出し合う。
これはスポーツマンシップであり、オリンピズムの根幹です。
オリンピック憲章も述べています。
「友情、連携、フェアプレーに基づく相互理解が必須である」
(オリンピズムの根本原則より)
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日本水球界では、時折このような声を聞きます。
「レフェリーが厳しく反則を取ると、水球の醍醐味が消える」
しかし、ここで改めて問いたいのです。
■ なぜ、ルールがあるのか?
■ なぜ、ルールブックにレフェリーが記述されているのか?
この問いに向き合うことこそ、
日本水球が前進する最重要のヒント だと考えています。
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日本サッカー協会は、2008年から「リスペクトプロジェクト」を開始しました。
その理念は明確です。
“フェアで強い日本をつくる”
そして、フェアプレーの本質を以下のように整理しています。
•ルール理解と遵守
•ルールの精神(安全・公平・喜び)
•レフェリーへの敬意
•相手チームへの敬意
さらに画期的だったのが
「グリーンカード」制度(U-12以下)。
“ポジティブな行動”を称える仕組みであり、
•怪我をした相手への思いやり
•ファウル後の謝罪
•自己申告
•味方の暴走を止める行動
•レフェリーへの協力姿勢
こうした行為を“賞賛する文化”をつくったことで、日本サッカー界では”フェアプレーの精神を育む活動”が確実に根づいています。

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サッカーが築いた価値観は、そのまま水球にも応用できます。
•ルールの精神を共有する文化
•レフェリーを尊重する風土
•ポジティブ行動を称える仕組み
•フェアであることを“かっこいい”とする価値観
これは、水球界がいま必要としている方向性と完全に一致しています。

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水球は、本来クリエイティブで、美しく、思考と技術が交差するスポーツです。
だからこそ、
“反フェアプレーの撲滅”は、水球の未来を明るくする最大のチャンスです。
•選手
•指導者
•レフェリー
•そして競技を愛するすべての人
このテーマを語り合い、行動するべきタイミングは──
まさに「いま」です。
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「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。
KAKU SPORTS OFFICEは、「アスリート思考で心豊かな社会を創造する」をモットーに、競技スポーツに関わる個人・企業・団体の活動や事業を、的確な視点で分析します。そして、言語・文化・音楽・映像・活字といった多様な“シンボル”を活用し、人と人、組織と組織、企業と企業、人と組織・企業といったあらゆるつながりの中から、最大の相乗効果を生み出す組み合わせをコーディネート。新たな利益システムを構築するコミュニケーションコーディネーターとして活動しています。また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています。