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サッカーをする子どもたちの安全と成長を支えるための みんなで考える安全文化づくりガイドライン― 猛暑での熱中症・落雷・荒天から子どもたちを守るために ―

2026.06.07

本ガイドラインは、小学生年代のサッカー活動における安全確保の普及・推進を目的として作成したものです。

作成にあたっては、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)、公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)、環境省、消防庁等が公表する熱中症・落雷・安全管理に関する指針を参考とし、小学生年代のサッカー現場で実践しやすい形に整理しています。

なお、本ガイドラインは法令や公的基準に代わるものではありません。

実際の活動においては、各自治体、競技団体、大会主催者が定める基準を優先し、そのうえで安全確保に努めてください。

私たち大人が、子どもたちの活動に潜む危険を知り、学び、備え続けること。

そして、子どもたちの安全と健やかな成長を支えること。

それは、社会における大人の共通責任かもしれません。

目次

猛暑での熱中症・落雷・荒天から子どもたちを守るために

■ 本ガイドラインの運用基準

本ガイドラインでは、安全管理上の判断を以下の3区分で示します。

【🟢 推奨】

安全性向上のため実施が望ましい事項

【🟠 必須】

安全管理上必ず実施すべき事項

【🔴 中止基準】

活動を継続してはならない状態

1. 基本理念

小学生年代のサッカーは育成年代スポーツです。

勝利や結果、大会運営よりも優先されるべきものは、子どもたちの生命・健康・成長です。

安全は競技の妨げではありません。

安全は子どもたちがスポーツを楽しみ、成長し、生涯にわたってサッカーと関わるための土台です。

監督・コーチ・保護者・大会主催者・運営者は、「熱中症や事故を起こさせない」という共通の責任を持ちます。

2. 小学生はなぜ暑さに弱いのか

【🟠 必須】

すべての大人は以下を理解する。

・体温調節機能が未成熟

・発汗能力が低い

・熱が体内にこもりやすい

・自ら危険を判断しにくい

・無理を続けやすい

【🟢 推奨】

保護者説明会やチームミーティングで共有する。

3. 暑熱順化

暑熱順化とは、身体を暑さに慣らすことです。

【🟢 推奨】

・4月から開始

・5〜14日程度かけて実施

・段階的に運動量を増やす

・適度な発汗習慣をつくる

・入浴習慣を整える

【🟠 必須】

急激な暑熱環境への移行を避ける。

【🔴 中止基準】

暑熱順化が十分でない状態での長時間活動。

4. 睡眠管理

睡眠不足は熱中症リスクを著しく高めます。

【🟠 必須】

試合前日に十分な睡眠時間を確保する。

【🟢 推奨】

・低学年:9〜11時間

・高学年:8〜10時間

【🔴 中止基準】

以下の場合は参加見合わせを検討する。

・極端な睡眠不足

・徹夜状態

・著しい疲労

5. 栄養・朝食管理

【🟠 必須】

活動前の朝食摂取。

【🟢 推奨】

・おにぎり

・パン

・うどん

・バナナ

・味噌汁

など消化の良い食品を摂取する。

【🔴 中止基準】

体調不良により十分な食事・水分摂取ができない場合。

6. プレクーリング

運動前から身体を冷やし深部体温上昇を抑制する。

【🟢 推奨】

・アイスベスト

・冷却タオル

・冷感帽子

・日陰待機

・手掌冷却

【🟠 必須】

WBGT高値時は冷却環境を準備する。

7. 水分補給・内部冷却

【🟠 必須】

喉が渇く前の補給。

【🟠 必須】

給水機会の確保。

【🟢 推奨】

・スポーツドリンク

・経口補水液

・常温水の準備

【🔴 中止基準】

十分な給水環境を確保できない場合。

8. WBGTによる活動判断

WBGT(暑さ指数)を活動判断の基準とする。

【🟠 必須】

活動場所でのWBGT測定。

■ 25℃未満

通常活動

■ 25〜28℃

警戒

給水頻度増加

■ 28〜31℃

厳重警戒

活動時間短縮

クーリングブレイク実施

■ 31℃以上

危険

原則中止

【🔴 中止基準】

・WBGT31℃以上

・救護体制不足

・体調不良者の増加

・人工芝高温化

・連戦による疲労蓄積

※数値のみでなく総合判断を行う。

9. 大会主催者/運営者の責任

【🟠 必須】

・WBGT測定

・AED設置

・救護体制整備

・中止基準策定

・避難場所確保

【🟢 推奨】

・ミストファン

・日陰テント

・看護師配置

10. 落雷・荒天対策

落雷は数秒で生命を奪う危険があります。

【🟠 必須】

雷活動(雷光・雷鳴)確認時は即時中断。

【🟠 必須】

建物または自動車へ避難。

【🔴 中止基準】

雷活動を確認した場合。

【🔴 再開禁止】

最後の雷活動から30分未満。

避難先として以下は不適切です。

・樹木の下

・テント

・東屋

・ベンチ

サッカー活動中における落雷事故防止対策について【JFA】

11. 初期症状の発見

【🟠 必須】

以下の変化を見逃さない。

・走れない

・反応が鈍い

・頭痛

・めまい

・顔色不良

・不機嫌

・吐き気

異変を感じたら即座に休ませる。

12. 緊急対応(EAP)

熱中症が疑われる場合は、「様子を見る」のではなく、迅速な対応を行う。

重症熱中症は命に関わる緊急事態であり、救急隊到着前の初期対応が予後を大きく左右する。

【🟠 必須】

① 活動停止

選手に異変を感じたら直ちにプレーを中止する。

本人が「大丈夫」と言っても続行させない。

② 安全な場所へ移動

日陰や空調の効いた室内へ移動する。

人工芝やアスファルトなど高温の場所から速やかに離れる。

③ 意識・呼吸の確認

以下を確認する。

・呼びかけに応答するか

・会話が成立するか

・呼吸は正常か

次の症状がある場合は重症を疑う。

・意識がはっきりしない

・受け答えがおかしい

・まっすぐ歩けない

・けいれん

・呼吸異常

④ 119番通報

重症が疑われる場合は直ちに119番通報する。

通報時には以下を伝える。

・場所

・年齢

・症状

・意識の有無

・熱中症疑いであること

⑤ AED確保・救護体制確立

AEDを準備する。

救急隊到着までの役割を分担する。

・通報担当

・冷却担当

・AED担当

・保護者連絡担当

⑥ 冷却開始(最優先)

救急車を待つだけではなく、直ちに冷却を開始する。

重点的に冷やす部位

・首の両側

・脇の下

・足の付け根(鼠径部)

利用できるもの

・氷嚢

・アイスパック

・氷水

・濡れタオル

可能であれば、

・衣服を緩める

・風を送る

・ミストを使用する

などを併用し、体温を下げる。

⑦ 救急隊へ引き継ぎ

到着した救急隊へ以下を伝える。

・発症時刻

・症状の経過

・実施した応急処置

・飲水状況

・既往歴(分かる範囲)

【🔴 禁止】

以下は行わない。

・意識障害時の飲水

・無理な経口補水

・競技への再参加

・「少し休めば大丈夫」という自己判断

【🔴 緊急搬送を要する症状】

次の症状がある場合は重症熱中症を疑い、直ちに救急要請する。

・意識障害

・けいれん

・歩行困難

・呼吸異常

・反応が著しく鈍い

・嘔吐を繰り返す

・自力で水分摂取できない

「迷ったら救急要請」が原則である。

13. リターン・トゥ・プレイ(競技復帰)

熱中症症状が発生した場合は、症状の軽重にかかわらず慎重な対応を行う。

症状が改善したように見えても、体内では脱水や体温調節機能の低下が残っている場合がある。

再発や重症化を防ぐため、段階的な復帰を原則とする。

【🟠 必須】

① 当日の競技復帰禁止

熱中症症状が認められた選手は、その日の練習・試合への復帰を認めない。

以下の場合も同様とする。

・頭痛

・めまい

・吐き気

・足のけいれん

・強い疲労感

本人が「大丈夫」と訴えても復帰させない。

② 保護者への報告

指導者は症状の内容と対応経過を保護者へ伝える。

・発症時刻

・症状

・実施した対応

・水分補給状況

を共有する。

③ 症状の経過観察

活動終了後も体調変化に注意する。

以下の症状が現れた場合は医療機関を受診する。

・発熱

・頭痛

・嘔吐

・倦怠感

・食欲不振

【🟢 推奨】

④ 医療機関受診

中等度以上の症状が疑われる場合は医療機関を受診する。

⑤ 段階的復帰

症状消失後は段階的に活動量を増やす。

・第1段階

散歩・ストレッチ

・第2段階

軽いジョギング

・第3段階

通常練習の一部参加

・第4段階

通常練習

・第5段階

試合復帰

【🔴 禁止】

・当日の競技復帰

・症状を隠しての参加

・指導者の自己判断による復帰許可

・保護者への未報告

【🔴 医療機関受診を強く推奨する症状】

・意識障害

・けいれん

・繰り返す嘔吐

・歩行困難

・高熱

・翌日以降も症状が続く場合

14. 子どもの自己申告を尊重する

小学生は体調変化を十分に説明できない場合がある。

また、

「試合に出たい」

「レギュラーを外れたくない」

という気持ちから、体調不良を我慢することも少なくない。

大人は子どもの訴えを軽視せず、安全を最優先に判断する。

【🟠 必須】

① 訴えを真剣に受け止める

以下の発言があった場合は必ず状態を確認する。

・暑い

・苦しい

・気持ち悪い

・頭が痛い

・足がつった

・疲れた

・休みたい

② 一度活動を止める

訴えがあった場合は一旦プレーを中断する。

無理に続けさせない。

③ 日陰で観察する

・顔色

・発汗状態

・受け答え

・歩行状態

を確認する。

④ 保護者と情報共有する

体調変化があった場合は活動後に保護者へ共有する。

【🟢 推奨】

⑤ 日常的に相談しやすい環境をつくる

指導者は普段から

「苦しかったら言っていい」

「休みたいと言っていい」

という雰囲気づくりを行う。

⑥ 子ども自身にも学ばせる

熱中症の初期症状や危険サインを年齢に応じて伝える。

【🔴 禁止】

・根性論による継続強要

・「みんな頑張っている」

・「あと少しだから」

・「試合中だから」

・「大丈夫だろう」

という理由で活動を続けさせること

【🔴 危険なサイン】

以下の場合は熱中症を疑い直ちに対応する。

・急に走れなくなった

・ぼんやりしている

・返事がおかしい

・ふらつく

・泣き出す

・座り込む

・頭を抱える

子どもの異変は、本人の訴えよりも先に行動や表情に現れることがある。

15. 役割別チェックリスト

■ 監督・コーチ

□ WBGT確認

□ 給水管理

□ 選手観察

□ 活動中止判断

□ 落雷確認

□ AED確認

■ 保護者

□ 睡眠確認

□ 朝食確認

□ 水分準備

□ 冷却用品準備

□ 体調確認

■ 大会主催者

□ WBGT測定

□ 救護体制

□ AED

□ 避難場所

□ クーリングブレイク

□ 落雷対応

□ 中断・中止の判断と決断

16. 保護者・指導者へのメッセージ

子どもたちは、自分自身の危険を正確に判断できるとは限りません。

だからこそ、大人が学び、大人が備え、大人が決断する必要があります。

安全は競技の妨げではありません。

安全は、子どもたちがサッカーを楽しみ、成長し、生涯にわたってスポーツに親しむための土台です。

私たちは勝利より先に、子どもの命と未来を守ります。

それが小学生年代のサッカーに関わるすべての大人の役割です。

とはいえ、

私たちは答えを持っているわけではありません。

だからこそ学び続け、問い続け、皆さまと考え続けたいと思います。

子どもたちが安全・安心にスポーツを楽しみ、その先の人生を豊かに歩んでいける環境づくりのために。

KAKU SPORTS OFFICEは、これからも知識や情報の発信を通じて、その一助となることを目指します。

■ KAKU SPORTS OFFICE 安全文化宣言

私たちは、子どもたちの生命と健康を守ることを、スポーツ環境づくりの出発点と考えます。

私たちは、知識や情報の発信を通じて、安全について学び、考え、行動するきっかけを届け続けます。

私たちは、指導者、保護者、大会主催者、地域の皆さまとともに、

「本当に安全なスポーツ環境とは何か」を問い続けます。

子どもたちが安全・安心にスポーツを楽しみ、その先の人生を豊かに歩んでいける環境づくりの一助となること。

それが、KAKU SPORTS OFFICEの願いです。

そして、その願いを皆さまと共有し、ともに実現していくことを目指します。

参考資料・出典

本ガイドラインは、以下の公的機関・競技団体等が公表する資料を参考に作成しています・

【1】公益財団法人日本サッカー協会(JFA)

・熱中症対策ガイドライン https://www.jfa.jp/documents/pdf/other/heatstroke_guideline.pdf

・落雷事故防止対策 https://www.jfa.jp/documents/pdf/other/rakurai.pdf

・大会ガイドライン https://www.jfa.jp/documents/guideline/

【2】公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)

熱中症予防に関する基本情報 https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html

・熱中症予防運動指針 https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html

【3】環境省

・熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/

・暑さ指数(WBGT)活用指針 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

【4】スポーツ庁

・学校及び地域スポーツ活動における熱中症事故防止通知 https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1417343_00033.htm

【5】消防庁

・熱中症による救急搬送状況 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post1.html

・応急手当普及啓発資料 https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/h23/2308/230831_1houdou/01_okyu.pdf

【6】気象庁

・雷ナウキャスト(リンク)

・防災気象情報 (リンク)

【7】日本救急医学会

・熱中症診療ガイドライン (リンク)

【8】国際サッカー連盟(FIFA)

・Extreme Heat Guidelines (リンク)

【9】国際オリンピック委員会(IOC)

・Consensus Statement on Exercise in the Heat (リンク)

※本ガイドラインは2026年6月時点の情報に基づき作成している。

各団体が公表する最新資料を随時確認し、必要に応じて改訂を行うものとする。

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熱中症対策ガイドライン・落雷事故防止対策【JFA】

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