水球はこれまで「水中の格闘技」と呼ばれてきました。
それは、激しい接触や肉体的ぶつかり合いが主眼のように見えるシーンが多かったからかもしれません。
けれど、私たちはそこに問いかけます。
本当にそれが、水球の本質でしょうか?
見えない水中での反則、引っ張り合い、時にユニフォームが破れるような行為。さらに、我が国の試合では、審判への執拗な抗議や、判定への圧力とも取れる暴言・振る舞いが繰り返されている現実もあります。
これはルールの限界ではなく、価値観の問題です。
水球は、地球上で唯一「水の環境」で行われるゴール型チームスポーツです。
それだけで、すでにかけがえのない価値を持っています。
そこに必要なのは、タフで、フェアで、クリエイティブな競技文化
競技は、選手や監督、コーチだけで発展するものではありません。
する人、観る人、支える人、ジャッジする人──すべての存在が共に文化をつくることに気づく機会こそが、今必要なのです。
2023年、日本水泳連盟が発行した『競技力向上指導指針準備号』はこう述べています:
競技スポーツは、“人々の心を豊かにする、世界共通の文化”である。
さらに、同年10月に開催された公認水泳競技コーチ向けのワークショップでは、競技・国籍を越えたコーチ同士の対話を通じて“誰もが輝ける心豊かなアクアティクスワールド”の実現が語られました。
この精神は、まさに水球が“格闘技”から“文化”へ進化するための鍵でもあります。
“水中の格闘技”ではなく、
“水上で、心を通わせるボールゲーム”。
フェアで、尊重しあい、誰もが創造的に関われるスポーツとして、水球を“単なる競技”から“文化”へと育てながら、未来の世代へ誇りを持って手渡していく──それが今、私たち一人ひとりの役割です。
KAKU SPORTS OFFICE
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•日本水泳連盟『競技力向上指導指針準備号』(2023)
※編著者:角田壮監、安田純輝(リンク)
•日本水泳連盟『公認水泳競技コーチデベロップメントワークショップ2023報告書
※編集:角田壮監、水野智佳子(リンク)