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水球ゴールキーパーは「守護神」では終わらない ── KAKU SPORTS OFFICEが提言する“次世代GK育成”の重要性

2025.07.20

これまで水中の「格闘技」と言われてきた水球。私たちは、水球を人類で唯一の水上の「知的でタフなボールゲーム」と再定義をしています。その知的でタフなボールゲームを象徴するのが、ゴール前でのシュートシーン。シューターとゴールキーパーのデュエルに水球の魅力や醍醐味が凝縮されている。我々は、このシーンこそが水球文化をより豊かにするものだと考えています。

だからこそ、水球文化をより深く、豊かにしていくには、このデュエルの一翼を担うGKの育成あり方を見直すことが必要との結論に至りました。

GKの進化が、水球の進化になる。

水球のゴールキーパー(GK)は、「シュートを止める最後の砦」と語られることが多くあります。確かにそれは正しいでしょう。

屈強なシューターが放つ強烈なシュートや、卓越した駆け引きでのテクニカルなシュートを阻止する“GKのファインセーブ”はチームを勝利に導く重要なプレーです。そして、観客にとっては、得点シーン同様、それ以上の見応えある水球の名場面でもあります。

しかし、GKの役割は、それだけでいいのでしょうか?

私たちは、問いかけます。

水球GKは、本当に“止めるだけ”の存在でいいのか?

チームの勝敗を左右するその位置に立つ選手が、“試合を動かす存在”でなくてよいのか?

この問いが、日本の水球に新しい風を吹き込むと信じています。

“守る”だけでなく“導く”存在へ──GK像をデザインする

GKには、どんな力が必要なのか──

私たちは、GKを次のように捉え直しています。

水球ゴールキーパーは、相手選手のシュートを止めるという絶対的な任務に加えて、試合を俯瞰し、状況を読み、仲間に声をかけ、チーム戦術を遂行する**“フィールド内の監督”**であるべきだ、と。

シュートを止めるゴールキーパーとして

戦況を把握し、仲間を動かす司令塔として

チームに勇気と安心をもたらす精神的支柱として

敵の攻撃意図を読み、流れを変えるゲームチェンジャーとして

たとえば、自チームが連続失点した直後、雰囲気を立て直すとき。

または、タイムアウト明けの守備セットを組み直すとき。

その場面で誰がリーダーとなってチームを導けるか──

その役割はGKが担い、困難な状況を乗り越える。

ゴールを守るだけではなく、試合全体に働きかけ、勝機をつくり出す存在。

それが、私たちが描く“次世代GK”の姿であり**育成モデル**です。

すでにサッカーシーンでは、従来のゴールキーパーの領域を超えたゴールプレーヤー(GP)という新たな定義が浸透しはじめています。

なぜ今、この提言なのか?

近年の国際大会では、GKがただ止めるだけでなく、試合のテンポや戦術にまで関与するプレーが目立つようになってきました。

世界の水球は、GKにより重要な役割を求めている傾向があるのです。

しかし、日本の育成年代では、まだこの視点が広く浸透していません。

•指導現場では、GKのトレーニングが後回しになっていないか?

•体系的な育成モデルは存在しているのか?

•GKコーチは、どこで、何を学べばいいのか?

•GKがリーダーになるには、どんな力が必要なのか?

こうした問いが、いまだ答えのないまま残されている現実があります。

だからこそ、いま、私たちは声を上げる必要があるのです。

日本水球を進化させるために、私たちができること

GKを「守るだけの存在(守護神)」から「チームを動かす存在(フィールド内の監督)」へ。

この転換は、チームの在り方、ひいては日本の水球文化全体を変えていく第一歩になると、私たちは信じています。

Kaku Sports Officeでは、以下の取り組みを通して、GK育成に新たな視点と環境をもたらすことを目指します。

GKの役割を言語化する

「技術」「戦術」「メンタル」「リーダーシップ」──これらを総合的に整理し、育成指針として体系化します。

GKコーチを養成し、情報を共有する

GK特化のコーチングガイドを整備し、全国の指導者が共有できる知識と環境をつくりを推進します。

GKプロジェクトを普及する

育成現場の課題や、優れた実践例を共有しながら、全国のGKや指導者とつながり、学び合うコミュニティづくりを推進します。

監督・コーチに「**やらされるポジション**」から、子どもたちが「**やりたいポジション**」へ

育成年代向けのトレーニングカリキュラムを整備する

U12・U15世代に向けた実践的なトレーニングモデルを開発し、指導現場で活用できるツールを提供します。

このプロジェクトは、選手・コーチ・保護者・メディア──

水球に関わるすべての人と共に考え、形にしていく共創の場です。

私たちは、すべての関係者が「水球文化の担い手」だと信じています。

あなたの声を、ぜひ聞かせてください

GK育成に関心のある方、すでに現場で実践している方。

また、水球を支える立場で何か力になりたいと感じている方。

どんな立場からでも構いません。

このプロジェクトは、問いかけと対話から生まれる文化運動でもあります。

ご意見・ご感想・情報提供など、どんな形でもかまいません。

あなたの声が、この挑戦を支える力になります。

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KAKU SPORTS OFFICE

水球を「する」「見る」「学ぶ」「支える」すべての人へ

https://kakusportsoffice.com

最後に──

Kaku Sports Officeは、「人を育てるスポーツ」としての水球の可能性を、これからも探究していきます。

ゴールを守るだけではなく、チームを導くGK、水球の魅力・醍醐味を誰よりも楽しむことができるGKを育てたい。

それが、私たちの願いであり、挑戦です。

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スポーツシステムコーディネーター 角田壮監

「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。

KAKU SPORTS OFFICE MISSION

アスリート思考で心豊かな社会づくりをクリエイトする

KAKU SPORTS OFFICEは、「アスリート思考で心豊かな社会を創造する」をモットーに、競技スポーツに関わる個人・企業・団体の活動や事業を、的確な視点で分析します。そして、言語・文化・音楽・映像・活字といった多様な“シンボル”を活用し、人と人、組織と組織、企業と企業、人と組織・企業といったあらゆるつながりの中から、最大の相乗効果を生み出す組み合わせをコーディネート。新たな利益システムを構築するコミュニケーションコーディネーターとして活動しています。また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています

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